監督:チャン・イーモウ
脚本:シーアン・ション
出演:ウェイ・ミンジ
公開:1999年
上映時間:106分
個人的評価 | 80点 |
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物語 | |
演出 | |
娯楽 | |
音楽 | |
芸術 |
感想(ネタバレあり)
貧困で老朽化した村。そんな場所にも学校はある。
13歳で教師の代役を務めることになったウェイ。
彼女は生徒を1人も欠けないで一か月を乗り切ったら50元をくれる、ということに躍起になる。つまりこの物語の動機はお金から始まる。
いたずら好きで孤独な少年のホエク―は母の病気が重くなり、お金もないため学校を辞めて街に出稼ぎに行ってしまう。
何としてでもホエク―を学校に連れ戻したいと思うウェイ。
それはお金のためか、教師としての心が芽生えたためか、可哀そうだからなのか……様々な感情が複雑に混ざっているように思えた。
ホエクを探しに街に行くためにはバスの往復料金が必要である。
いくらお金が必要か
↓
どうやったらそのお金を稼ぐことができるか
↓↓
1000個で〇元なら目的のお金までいくつ積めばいいのか
↓
2時間で1000個積めたなら、何時間働いたらいいか
というように、実践的に数学の勉強を生徒達としているのが印象的だった。
結局、バスに無賃乗車をして途中で降ろされてしまい、歩いていくことに。
途中でヒッチハイクをして何とか街にたどり着く。
ホエク―の下宿先もひどいもので、一緒に働いている仲間の少女も貧困であらゆるものに飢えている様子だった。
ラジオ放送、貼り紙などでホエク―を探しても見つからず、ウェイは途方にくれてしまう。近くのおじさんにテレビ局なら効果があるんじゃないかと教えてもらい、さっそくウェイはテレビ局に向かう。
しかし、紹介状や身分証明書がなければここは通せないと受付のおばさんに門前払いされてしまう。
(小学生のころ、近所のスーパーの遊具コーナーにいた「意地悪なおばちゃん」によく似ていた)
目の前の業務遂行で一杯いっぱいで、人間的な倫理観に気を遣う余裕がないタイプに思える。
それでも、テレビ局の門を通る人々に「局長さんですか?」と尋ねてまわる健気なシーンは心に残った。
疲れ果てても寝る場所もなく、電柱に身体を預けて眠る始末。それをある一種のものだと当たり前のようにわかってしまう環境も、また貧困によるものだと強く思った。
結局ウェイは局長に会うことができて、テレビに出演してホエクーを呼びかけます。
緊張しているのか、テレビ放送で何も答えられないシーン。
「カメラの向こうにホエクがいるとおもって」泣きながら訴えかける姿の演出はとても印象的だった。放送をみたホエクーが顔をくしゃくしゃにして涙を流すところも貰い泣きしそうになった。
役者のほとんどが素人だというが、その初々しい演技が見事に物語に溶け込んでいるように思えた。
メディアのチカラで解決してハッピーエンドで幕を閉じたのは良かったが、説教臭い印象も少し残っていた。一時的な支援を受けるだけでは抜本的な解決にはならないのが悲しい。