監督、脚本、演出:ファン・ドンヒョク
出演:イ・ジョンジェ、イ・ビョンホン、パク・ヘス、オ・ヨンス、ホ・ソンス、ウィ・パジュン
制作:韓国
上映時間:1話約45分(全9話)合計:405分
Netflixで配信中の韓国ドラマです。
熱中度がすごい
一度観始めたら止めどころを忘れるくらい引き込まれてしまいました。中だるみすることなく、続きの気になる展開がラストまで持続します。
あらすじや概要だけを知ると、「カイジやバトルロワイヤルと似たようなアレでしょ?」と思ってしまうかもしれません。
イカゲームが他のサヴァイヴ系(バトロワ、ライアーゲーム、カイジなど)と違うところ
まず、物語の主要人物が身近な存在に感じられる点にあります。
他のサヴァイヴ系は天才や異能力を持った人物が窮地を突破するパターンが多いですが、イカゲームは違います。
基本的に借金持ちで落ちぶれてしまった人々が参加者です。天才や超人ではなく、どこにでもいそうな、距離間の近い人間をリアルに描いています。
その人たちが非現実的な世界で賞金を目当てに死と隣り合わせのゲームをします。それは強制ではなく、任意です。
殺し合いのゲームとわかり、一度は解散することになりますが、結局参加者のほとんどはゲーム会場に戻ってきてしまいます。彼らにとって辛い現実が待っているだけなので……。
それが韓国の社会の縮図のように言われているのも面白いですね。韓国は日本と比べて受験や就職の過酷な競争を勝ち抜かなければ露頭に迷うことになりかねない現実があると聞いたことがあるので……。物語を強引に動かされているように感じないので引き込まれます。
感想(ネタバレあり)
主人公はバツイチ、借金を背負って母と二人暮らし。ダメ人間だけれど、根はとても優しいお人好し。
そんな主人公が勝ち残ったところが嬉しかったです。射鵰英雄伝の郭靖もそうですが、お人好しで憎めない人間が人徳で成功するドラマはホッとするところがあります。
そしてイカゲームを観ていて、ある一つのゲームが思い浮かび上がりました。
それは「League of Legends」です。
League of Legends(通称LOL)は民度が最低のゲームと言われています。
基本無料のゲームであり、低スペックでプレイ可能なので、キッズの量は当然増えます。さらに日本人ではなく、外国人の割合が高いところも、荒れてしまう大きな理由になっているでしょう。しかし、プレイヤーの質よりも重要なものがあります。
ゲームの仕組みです。5v5の対人戦で、負けてるチームメンバーの負債が後々全体に普及していく仕組みになっているので、誰のせいで負けたかわかってしまうことです。普段優しい友達が、ゲームの暴言の波に飲み込まれ、敵意丸出しで信じられない言葉を口にする場面を何度もみてきました。
「LOLは人間を闇落ちさせるのではなく、LOLが人間の本性を暴くのだ!」とよく言われたりします。
イカゲームでも同様に、「ここまで人間の本性をみてきてまだ信じられるのか?」というようなセリフがあったと思います。
イカゲームを観て、LOLを思い出して、わかったことがあります。
人間の本性がやばいのではなく、そうさせるまでメンタルを追い込むゲームの構造がよくないのだ と。
偉そうに悟ったことを書きましたが、この感想をきっかけに読みたい本が見つかりました。
「夜と霧」という本です。ナチスの強制収容所の実体験をもとに書いたノンフィクションの体験記らしい。極限まで追い込まれた人間の先にあるのは何なのか、気になります。
話が一変しますが、脱北者のセビョクが好きでした。性格がすごくタイプです。
文化的コード
余談ですが、イカゲームにはキリスト教をモチーフにしたパロディがいくつか散りばめられているみたいです。それらの人間が共感する普遍的な、あるいは宗教的な概念を文化的コードと呼ぶらしい。
今後、鑑賞する作品に文化的コードが潜んでいるかどうか、意識してみるのも面白そうです。
個人的評価 | 90点 |
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