制作:オーバーワークス
販売:セガ
ハード:任天堂ゲームキューブ
発売日:2002年2月25日
プレイ時間:60時間
ずっとやりたかったゲーム
幼いころから、RPGが好きだった。
理由は、冒険している感覚を強く味わえるから。
たくさんRPGをプレイしてきたけど、なかでも「グランディア」と「Lunar2エターナルブルー」の特別心に残っていた。
そして、この2作の共通点には、世界観を構築するための膨大なテキスト量がある。
村人のセリフを1つとっても丁寧に作りこんでる。一方通行の発言ではなく主人公がしっかりと「会話」をする。つまり、インタラクティブな体験を目指している。一度のみならず、二度目、三度目と話しかけるたびに違う内容に会話が変化する。ゲームの中の世界に根を張り、生きている人を描こうとしている苦労が理解できる。個性的な会話はイベントが進むたびに変化する。この労力は縁の下の力持ちとして世界観を太く確固たるものとして息づかせていると思う。
村人のセリフを一つの例にあげてみたが、世界観やキャラクターはもちろん、ストーリーや演出を含めて「一切の妥協を感じさせないゲーム」と感じられる。
あるとき友人から「グランディアやLunar2が好きな人にうってつけのゲームがある」と、教えてもらったRPGがあった。
それが「エターナルアルカディア」だった。
オリジナリティ
エターナルアルカディアは「空を航海する」冒険活劇RPG。プレイヤーをワクワクさせたい、冒険している感覚を演出したい、妥協しないで最高の作品を作りたいといった開発の意図が汲み取れる。
特に、船を手に入れてからの航海は胸が踊った。どこまでも続くフィールドを上下左右に自由に飛び回ることができる。2001年のゲームなのに。さらに、フィールドに散らばっている発見物から世界の歴史や成り立ちのテキストを読むことができて、冒険心をよりくすぐられる。船を手に入れてからは航海に必要なクルー(仲間)を集めることもできる。
戦闘はオーソドックスな選択式だが、戦闘パーティの役割がしっかりと分かれているので作業感はない。キャラクターではなく、船で戦う砲撃戦もこのゲームならでは特徴。
世界観(大航海時代)、システム(フィールドを自由に航海、個性的な戦闘)、ストーリー、キャラクター、音楽、どれをとっても光るものを感じる。
一見、グラフィックや戦闘周りをみてただのRPGのように思えるかもしれない。しかし、最初から順を追ってプレイしてみると、少年のころの感覚が蘇り、ずっとこの世界に居続けたい。そう思える宝物のようなゲーム。
ストーリー
王道の中の王道。ロビンソン・クルーソー、白鯨、海底2万マイルなど元ネタを知っているとより楽しめると思う。
青の空賊ヴァイスは空賊稼業の傍ら、バルア帝国に拉致された謎の少女ファイナを救うことになり……。
天空の城ラピュタに近い始まり方をする。
メニュー画面から航海日誌を読むことができて、それがまた味があって良いんです。主人公のヴァイスだけでなく、アイカ、ファイナ、ドラクマ、エンリック、ギルダーなど、各キャラクターの目線で書いた日誌を物語の記録として読むことができます。
俺はゲームを始める前に、いつも航海日誌を読んでからスタートしていた。
キャラクターが立っていないと、このような日誌を書くことができない。
ストーリーのみならず、オブジェクトに対する説明描写もキャラクターの言葉で読むことができる。
グランディアやluna2のように何度もテキストが変わることないが、オブジェクトのテキストを読むことで、どのように生活しているのか、どの程度の文明レベルなのか、どのような価値観を持っているのかなど、エターナルアルカディアの世界を想像して楽しむことができる。
惜しいところは、ラスボス周辺の敵のキャラが立っていないこと。
キャラクター
ヴァイス(CV:関智一)
明るくて前向き、どんなときも諦めない心を持った冒険好きの少年。
最序盤は父であるダイン船長の空賊に所属しており、拠点の空賊島で家族やクルーたちと一緒に住んでいる。
相棒であるアイカがお化けを怖がっているところをニヤニヤ眺めていたり、おちょくる言動もたまにあったりするが、そこが人間味があってポイント高い。ファイナに対しては(結構かわいい)と日誌に書いており、飛び出すときにキャッチしたり、衝撃で揺れたときには腰に手を回して支えてあげたり、大事なことを言うときは肩に手を置いたりしている。紳士かつ大胆な行動を取っている。アイカに対しては同じ空賊として絶大な信頼を置いており、もはや痴話喧嘩としか見えないような掛け合いもする。アイカ、ファイナ、両方に心の底から信頼されている人物。
行動力がある。無人島で一人でサバイバル生活を強いられても、モンスターを狩猟して生き延びて、さらに難破した船の修理までやってのける。どんな状況でも諦めず打開策を考えようとする芯がしっかりしている。
選択肢によって男気が上がっていく。少し残念なところは後半は口数が少なくなっていき、船長として周囲をまとめるためか「よーし」を連発するようになりキャラの個性が少し薄くなっていたところ。悪く言えばシナリオにキャラクターが動かされている感じ。でも憎むことができない非常に好感の持てるキャラクターです。
アイカ(CV:川上とも子)
ヴァイスの幼馴染。もうひとりの主人公といっても過言ではない、物語を明るく楽しくしてくれるムードメーカー。
最初はアイカの登場に対して、「幼馴染ポジションの空賊女子だけど、この子はストーリーに必要なのか?」と疑問に思っていたが、超重要キャラだった。アイカがいるおかげで旅が明るく、楽しいものになっている。
会話のなかで冗談を言ったり、プレイヤーが疑問に思うであろうことを率直に指摘したり、憂鬱な展開が続いたときに周囲を和ませてくれたり。正直、一番キャラが立っているのは主人公のヴァイスではなくアイカだと思ったほど。アイカの想像する絵も面白くて好き。
戦闘では低コストで使える範囲攻撃を持っていて、雑魚戦において序盤から大活躍。ボス戦ではデルタシールド(魔法無効)のスキル、さらに回復も使える。ストーリーのみならず戦闘でも欠かせない大事なキャラクター。
ファイナ(CV:堀江由衣)
おしとやかで神秘的、謎に満ちた美少女。
空賊を知らない、お金を知らない、おばけを知らない、知らないこと尽くしの謎の少女。バルア救出以降からヴァイスとアイカには心を開いていく。意外と考えていることが顔に出やすいタイプ。(ヴァイスが助けに来ると必ず頬を赤く染める)
天然ボケ担当であり、アイカがツッコミを入れてヴァイスが苦笑する構図がよくみられる。担当声優の堀江由衣さんの当時の若く美しい声にぴたりとはまっている。
根は優しく、けれど芯がしっかりしていて、苦境でも弱音を吐かないところ好印象。おそらく、ヴァイスに恋心近い感情を抱いていると思いますが、それが何なのかまだ本人は気づいていない。
世間知らずのファイナが、ヴァイスたちと冒険をすることで、徐々に感情に変化が現れる様子はみていて嬉しくなる。
感想
遊ぶ冒険小説。カメラワークの演出が数あるゲームの中でも群を抜いてこだわっている。知る人ぞ知る名作RPG。
こんな素敵なゲームを、生きている間にあと何作出会うことができるだろうか? そう思わざるを得ない名作。
ストーリーを軸に、航海BGMをメドレー式に仕立てた動画を作ってみた。
興奮タイミングメモ
・始めて船を自由に航海したとき
・新しいロケーション(未知の発見物)を見つけたとき
・逆風に逆らいながらも小型船でサウスオーシャンを超え、新大陸にたどり着いたとき
・誰も超えられたことがない魔の空域「サルガッソー」を乗り超え、文化の違う異国にたどり着いたとき
・伝説の大空賊が遺した宝の地図の片切れを発見し、宝島でお宝を見つけたとき
・世界を一周したとき
・最後まで冒険を続ける終わり方
個人的評価 | 93点 |
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