あれは高校生だったころ。
ガンダムの生みの親である富野由悠季さんが細田守版「時をかける少女」について
キャラクターがセックスしたいと言っているようにしか聞こえない。
と痛烈に批判していたのを覚えている。
その富野監督が、ジュブナイル系のおすすめ作品として紹介したものが
オリガモリソヴナの反語法(小説)、小さな中国のお針子(映画)、ロリータ(小説)だった。
細田守版「時をかける少女」に感動した私としては、食って掛かる勢いで上から目線「小さな中国のお針子」を観た。
しかし、視聴開始数分で映画の魅力に引き込まれて釘付けになった。
それからおそらく、5回はみた。
大人になって、また観たくなったので再鑑賞。私にとって忘れられない名作です。
個人的評価 | 95点 |
---|---|
物語 | |
演出 | |
娯楽 | |
音楽 | |
芸術 |
感想
今なら、マーが医者に想いを打ち明けたときに、涙を流した理由がわかる。
そして、ロウが「お針子を守ってくれ」とマーの気持ちを知っていながらも、それでも友人としてお願いした理由もわかる。
この映画の素晴らしいところは、物語はヒトを動かす力があると教えてくれるところだ。
あれほど訝しがっていたのに、観終わったときには「富野監督の言っていることは正しい」と感覚的に理解したことを覚えている。
なぜなら「時をかける少女」では動かなかった自分の心が、動かされたからだ。
原作者=監督であるし、ほぼ自伝的な作品なので、「人間らしさ」「リアリティ」「迫力」は当然かもしれないけれど、この作品はそれだけではない。
生きる人間としての喜び、辛さ、悲しさ、時代背景、言葉にできない感情、そういったものが土台としてエンターテイメントになっている。
文化大革命時代の青春映画として、何度も観たい名作です。