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猫狩り族の長 麻枝准

感想

アニメやゲームで育った引きこもりオタクが書く妄想の世界って感じの三流小説

ところが、著者が麻枝准なのだ。

俺は学生時代から麻枝さんの音楽のファンだ。特に殺伐ラジオの第一回目は自分がDTMを始めるきっかけを与えてくれた。

麻枝さんは音楽とストーリーの相乗効果をゲームに乗せて、瞬間最大風速の感動を演出できる天才だと思う。その印象は今でも変わらない。

しかし文章のみで勝負する小説だと、麻枝さんの良い部分を発揮することは難しいと思った。

リアリティの薄い会話と、アニメや漫画の「売れる論理」に基づいたような記号的なキャラクターの描き方。正直、麻枝さんを知らない人にとっては小説とは思えない酷い出来だ。

しかし、登場人物が語る「死」についてだけは、やたらと心に響き迫るものがあった。
なぜなら十郎丸=麻枝さんであるからだ。

・死について=過去の大手術→本人の経験
・ひきこもって紫外線を受けないから美肌→本人と同じ
・天才であるにも関わらず周囲に対する強い劣等感→本人と同じ
・不安神経症→本人と同じ
・雨が降っても傘をささない→autumsongの歌詞

など、十郎丸の発言の元ネタを辿ることで麻枝さんファンならでは楽しみ方を味わえる。
ちなみに、ラストは麻枝さんが過去に影響を受けた鈴木光司の楽園からインスピレーションがきていると思われる。

麻枝さんの作品のファンではなく、麻枝さんが好きな人なら楽しめることができるかもしれない。

個人的評価20点
おすすめ度
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