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グリーン・デスティニー (字幕)

基本情報

監督:アン・リー

脚本:ジェームズ・シェイマス

出演:チョウ・ユンファ、ミシェル・ヨー、チャン・ツィイー、チャン・チェン

公開:2000年

上映時間:120分

超簡単あらすじ

名剣「碧名剣」を巡って各登場人物の運命が翻弄されていくお話。

感想(ネタバレあり)

2000年に公開された映画ですが、とにかく映像が美しい。

映像美に乗せた華麗なアクションは見応えがあり、軽功を使った壁歩きの演出は「武侠小説を読んで想像していた軽功はまさにコレ!」といった動きで観ていて楽しいものでした。

効果音も迫力満点でかなり凝っています。

ただ音楽については、ガチめな戦闘シーンは基本的に打楽器がドコドコなっているもののみとなるので、賛否両論がありそう。手に汗を握る戦闘に本能的に拍車をかけるような演出装置としては申し分ないのですが、やはり音楽自体を楽しむ目線から見ると微妙です。世界観や作風を遵守してああなったと思われますが……。

肝心の物語ですが、各キャラクターの背景や舞台の設定は凝っているものの、ストーリーを展開する上で焦点の当てかたが不安定な印象でした。

この物語はどこに行き着きたいのか、誰に感情移入をして映画を見れば良いのかわからなかったです。 

碧名剣に翻弄されるストーリーというのはわかりますが、だからといって楽しめるわけではないのが辛いところ。

お転婆お姫様のイェンが中心人物になっていますが、彼女に感情移入できる要素はなかったです。ただただ強運の持ち主としか思えない。。

全体的に悲壮感が漂っていて、ユーモアや笑える場面もありません。映像は美しいですが全体的に暗いです。

中盤になると唐突にイェンとローの回想シーンが始まるのですが、それがあまりに長く、かといってローが後半存在感を発揮する場面はありません。

てっきりラスボスの枠だからここまで尺を取ったのではと最初は思っていましたが、違う結果で残念でした。

イェンにとっての重要人物がローなのはわかりますが、そもそもイェンがどれだけ重要なのかわからないまま詰めてしまったシーンに思えます。これが小説や連作映画だったら、また違った印象を抱いていたと思います。

そして武侠小説で定番の登場人物の成長要素ですが、なんとこの映画では最初から終わりまで武芸において成長する登場人物はいません。(努力・運・人徳などによってパワーアップする要素なし)これが非常に残念でした。武侠のカタルシスは登場人物の成長・変化にあると思っているので。

どちらかといえば金庸よりも古龍や梁羽生よりの作風、世界観となっている印象です。

辛口な内容となりましたが、映像の美しさ、カメラワーク、アクションは目を見張るものがあります。

物語の内容に不満点は多いものの、登場人物が「見せたい描写があるため物語を強引に進めている感」はなく、あくまで自然体に生き生きと動きます。これは登場人物についてよく理解している(頭の中でキャラが生きているレベルで想像できる)から出来ることだと思います。

心に残る映画であるのは間違い無いです。

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個人的評価55点
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音楽
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