観る前に思っていたこと
小さいころ、実家に置いてある漫画は一つしかなかった。父が集めていた唯一の漫画、それがスラムダンクでした。
なので、ぼくにとってスラムダンクは初めて読んだ漫画です。いつも枕元に置いてあって、寝る前に何度も読みました。
夏休みの朝に、学校のプールが終わった後、家でスラムダンクのアニメの再放送を観るのが楽しみでした。キャラの声や主題歌にも思い入れがあります。
大人になって読み返してみると、人間の描き方がうまいのはもちろん、ギャグとシリアスの配分が絶妙で、それが漫画として良いテンポを生み出している凄さに気づきました。
今回の映画では、原作者の井上雄彦さんが監督をしています。たしか井上雄彦さんはスラムダンクのアニメがあまり良い印象に思ってなかった話をきいたことがあります。「リアル」という漫画でもスラムダンクのアニメを観ているキャラが「いつまで走ってるんだ。こんなにコートは長くないぞ笑(現実的ではない)」的なセリフがありました。
井上雄彦さんが監督をすると、もしかしたら意識高い系のリアリティを追求した「バスケットの観戦」になってしまうのではないかと少し不安におもっていました。
声優、主題歌の変更を直前で発表したり、スタッフの強気なインタビューもあり、期待と不安が半分でどうせなら「良作か駄作のどちらかに振り切ってほしい」と思いながら映画館へ足を運びました。
以下、多くのネタバレを含みますのでご注意ください。
感想
不安を大きく払拭する良い映画でした!とてもよかったです。
面白かった・楽しかった、よりも「よかった」という言葉を選んでしまいがちなのは、宮城のストーリーが噛んでいるからです。
しかし、スポーツを題材にしたアニメ映画でこれほど動いてかつ、エンタメとして面白いものは他に知りません。
※余談ですが、実写のスポーツ映画ではピンポンが一番好きです。
個人的評価 | 80点 |
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物語 | |
演出 | |
娯楽 | |
音楽 | |
芸術 |
Good point
これがとにかく凄い。本格的に動きます。しかもアニメで!
沢北のドライブ、桜木のリバウンド、三井のスリーポイント、赤木のゴリラダンクなど、原作に忠実に、かといってテンポを乱さずに再現されています。効果音も臨場感抜群です。
不安に思っていたギャグとシリアスの配分ですが、ギャグは少し抑えめになっていました。漫画的な口調ではなく、アニメのなかの自然なセリフとして演出が修正されていました。
序盤の回想が終わった後の白紙から湘北メンバーそれぞれにペンを入れるOPアニメーションの演出はゾクゾクしました。
挑戦する流川をみて嬉しそうな沢北もよかった。
一部のシーンを除いて原作に忠実に進むので、やはり山王戦は感動します。
なくなったシーンは覚えている限り…陵南、海南キャラのセリフと演出。沢北父。大好きです今度は嘘じゃないです。
みてるか谷沢……。お前とバスケするの息苦しいよ。北沢じゃねーかどあほう。などです。
重要なシーン(魚住によって赤木が自分の役割を理解するシーン)は違う内容に変わっています。
結局、山王戦は桜木の成長・覚醒ぶりが凄まじいところが好きです。自分がド素人だと自覚する発言や驚異のリバウンドと運動量。河田が認めるところ。宮城メインのシナリオなのはわかるのですが、どうしても山王戦は桜木に意識がいってしまいます。
宮城ってもともとは寡黙な少年だったんだなあ。
そんな少年が、惚れたからといって彩子にあんなにストレートにいけるのかな。と疑問に思ってしまうくらい寡黙でした。
三井の中学時代がかっこよかったです。
Bad point
さすがに登場人物の関係を一から説明してる時間はないので、原作は知っている前提の内容になっています。
でも、さりげなくセリフ回しで関係性を伝えているところもあり、うまいと思いました。
2名のキャラ以外はすぐになれましたが、その2名が最後まで慣れませんでした。
それは桜木花道と河田雅史の声です。
特に桜木の「返せ…」というシーンは完全に棒読みでウケねらいを狙ったような演出になっており最悪でした。
河田は声が綺麗すぎます。もっと迫力のある、地に響くような強敵感ある声のほうが個人的にはよかったです。。
沢北の「よーい、ドン!」はよかったです。
回想の内容自体は悪くないのですが、山王戦のほうが面白いです。
試合の合間に頻繁に回想が入ってくると、くどく感じてしまいます。
主題歌は合っていましたが、思い出補正もあり前の主題歌のほうが好きでした。盛り上がるし、感情移入できたと思います。
回想シーンのピアノのBGMはどこかで聞いたことある感じの「日本ドラマ特有の演出」っぽくてがっかりしました。